忘れ物を探しにいくような2018
ほんとうはこうしたかった。ほんとうは寂しかった。ほんとうは、ひとりぼっちでも生きられた。
目隠しもせずに見えない見えないと瞑った目蓋を無理矢理にでもこじ開けて見た世界。ずっと観ていた世界に、ふれた。
温度も、触感も、かたちも、ほんとうのほんとうはありもしない世界をふれて、たたいて、なぐって、だきしめた。うけいれた。
わたしは生きていたのだ。抱っこされたまま動いていく景色を観ながらも、たしかに心臓は動いていた。
どこにも居ないと泣いたけれど、いた。たしかにここにいた。ここにも、あそこにも、どこにだっていた。
ひとりぼっち 恐れずに 生きようと ゆめみてた
よるのゆめこそまことと、どこかの誰かは言ったけれど、わたしのまことはここでいい。ここがいい。この世界がいい。
おはようと、漸く言えた気がした。
朝焼けに塗れた欲望は、存外明るく光っていた。
おはよう。
名も知らぬ誰かの幸せを望むことは、昔習った教科書に書いてあった通り、素敵なことだった。
うつくしい世界。薄汚れて、すこし臭くて、どろどろとした世界。
わたしはここで生きていくのだと、生きていたのだと、呼吸をした。世界。せかい。
わたしに言葉を与えたひとたち全員に、侮辱や暴言の代わりにありがとうと伝えたい。それでいい。
今日もいい天気だった。