来ない春をゆめみてた

 

 

 

悪を破裂しそうな程に孕んだハイヒールの音はいつだって乾いていてわたしは安心する

しなびた世界に子孫は残したくない

博打は好きだが無謀な賭け事はしたくない

よくわたしを産めたものだと今更に感心する

あなたはわたしがこの世でびしょ濡れにされて雨混じりの塩辛い涙を流す確率を考えてわたしを産んだのだろうか

顔も見たことのない我が子

卵以上になり得ない我が子

愛おしいと思う

繋げていくのが美しいと誰かが言った

問答無用で渡されたバトンを何処がゴールかもわからないまま片手に駆け出して疲れたところで我が子へ託す

美しいとはなんだろう

しなびた世界で可愛いだろう我が子が泣かぬようにとわたしは今日も子孫繁栄に背を向ける

こどもはかわいいあいらしい

だからこそ見えないままでいい

 

 

 

 

 

 

世界の端っこのだれも来ない公園でなにかを待っていた

世界の終わりか始まりか

わたしは何かに少しばかり期待をして

錆びたベンチで夜を見た

血を分けたものを家族と呼ぶならあの蚊や血抜きをせずに食べたあの食材もわたしの家族かそれとも否か

だれを待てばいい なにを待てばいい

分からないままにわたしは期待する

分からないからわたしは期待する

へんなものだ

人の声が聞こえるたびに恐ろしく思う

刺激物と劇薬と大きな音と太い建物

止まらぬ時計が無意味なわたしを責め立てて

脳内で心中を決め込んだ

明日が来る とても、おそろしいと思う

 

 

 

草臥れた夢に布団をかけて子守唄を与えた

もういい もういいんだ

ゆっくり休んで深く沈んでいって

最初からなかったことになればいい

ねんねんころりよ 私の夢

せめていい夢を見てほしいなんて

なんて無責任なライム