大嫌いだ
募金箱を抱えて立っている人間が酷く嫌いだ。
耳の悪い老人のように大きな声を張り上げ、遠い国の子どもたちの不幸を語るその声すら嫌いだ。
1人10円でも10人が募金すれば100円になる、と小学校低学年の時に見たテストの問題文のような言葉を高らかに叫ぶその魂が嫌いだ。
日曜、駅前、3時57分16秒etc
20人の高校生から大人、老人までが馬鹿のひとつ覚えの如くずらりと並び、せぇので合わせた言葉を甲高い耳障りな声で叫ぶ。
世界中の子どもたちは、と。
ボランティア ボランティア ボランティア
募金したい人間はいつだってどこであろうと募金箱があれば募金する。マックやコンビニがいい例で、お釣りをぽんと入れる。自分は世界の貧しい人間の為にお金を入れた、なんてことを思う人間は少ないだろう。ああ、募金箱だ。お釣りだ。入れよう。そう、ごく自然に。そこに募金箱があり、手頃なお釣りを手に持った。そして、自分すら深く考えていない募金しようというちっぽけな感情。
それだけで、何十万というお金が集まるのだ。それが日本だ。
そんな中で、束になり、列を作り声を張り上げ、募金を促すなんて馬鹿だ。阿呆だ。
今時募金なんてワンクリックで出来る。
20人が並んでいる時間、2時間にしよう。もしも2時間、並び声を張り上げる人間を1人に絞り、残り19人がアルバイトをすれば。
時給900円だとしても34200円だ。
それを繰り返せば、よっぽど金は集まる。
馬鹿らしい。阿呆くさい。恥ずかしい。
列を作り、人に金を入れろと声を張り上げる前に自分が働け。
自己満足の為に世界中の子どもの名を使うな。